全文検索(S)

略すとTM

村上 隆はオタクの敵か味方か。多分敵ではあるだろう。彼はとてつもなく頭が良いからだ。友達じゃない無茶苦茶頭の良いヤツは敵である。

彼は、糞マテリアルに対してバカが金を落とす文脈を作ってしまうことが出来る。彼は単にその素材にオタクのマテリアルを選んだだけであろう。だから、いわゆるオタク作品は作らない。オタク的に、彼の作品に萌えられなかったり、むしろかなりキモかったりするのは当然なんである。オタク作品とアート作品とでは、値段が3桁は違う。何故違うのかといえば、彼はその価値を生み出す文脈ごと作品を作り上げられるからだ。「この糞みたいな作品はどうすんばらしいのか」を自ら語りながら聴衆に聞かせて、一部のバカにそれを納得させて金を巻き上げる力がある。まあ金を巻き上げるのは2次的なこととして、より真っ当な表現をすれば、彼は「意味の創造」の能力が高いのだ。意味があるものとは価値があるものであり、資本主義社会では高価な値が付く。

で、この後誰でも思いつくパターンとして、「こういった村上の手法は、既存のアートのコンテキストや価値感、意味へのアンチテーゼとして云々」と論を進めるのが無難なところであろう。クラシカルな芸術は何故アートたりえるのか、オタク作品は何故商業芸術や趣味の領域でしかないのか。彼がそのボーダを崩すことによって、既存のパラダイムも壊れていくのではないか。

……なんてな、多分彼の目の前でこういう単純な展開で話を〆たりしたら、鼻で笑ってその場ででっち上げた適当な反論をする能力があるんだろう。あー憎たらしい。(w だから友達じゃない頭の良いヤツは敵なんだって。ヤツはオタクの敵だ。(w

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著作者 : 未識 魚
最終更新日 : 2006-09-27 00:06:35

思い込み万歳

とあるところで、青木雄二が「小さいころから、絵を描いたら誰にも負けんかった」などと言っていることを知って、俺は少なからぬ衝撃を受けている。確かに、彼のマンガ『ナニワ金融道』はテレビドラマ化されるまでに至った大ヒット作品である。

だがしかし、彼の絵を 1 カットでも見りゃみんな分かることだからわざわざ言うまでもないのだが、正直言って彼の絵は 下手 と評価されるレベルであろう。小学校でも、彼より絵の上手い人はクラスに 1 人か 2 人いたはずである。中学以後で美術やマンガ関係のサークルに入ったとしたら、良くてもブービー賞を争うレベルであろうと思う。だが、本人は「誰にも負け」なかったと豪語している。これだね!

ビジネス的にはもう成功したわけだし、現在の作品には作画担当がいるわけだし、もはや彼自身が自分の絵をどう評価しようが大勢に影響はない。むしろ、「自分の絵は稚拙だが、様々な経験に基づいたリアリティや説得力のお陰で、広く読んでいただけてるのだろう」、などと語った方が、月並みだがはるかに良いビジネス戦略だろう。でも、彼は自分の絵が上手いと豪語してるのだ。絵については、黒山が 2 つ 3 つできるくらいの罵詈雑言を浴びてきただろうあの彼が! つまり彼は、今でも本気で自分の絵が上手いと思ってるんだ! ワォ! ブラーボ!

岡田斗司夫かいしかわじゅんも言っていたのだが、彼の描き込みには、確かに尋常じゃない偏執的なものを感じる。パースという概念すらない世界に異常な量の主線。ゲシュタルトは歪みきってます。しかし、その異常な描き込みの結果妙な迫力が出る。例が適切じゃないかもしれんが、ヘンリー・ダーガーなんかにも通ずる世界だ。一般的な上手い下手という評価は、超越しちゃってる。究極的に言えば、なんというかあの怨念のような細部へのこだわりや、無闇に強固な思い込み、自らを省みて悩むより先に行動を起こすというポジティブな姿勢が、彼の成功の鍵だったのだろうと思う。

もし誤解されたらイヤなので断っておきますが、決して貶してるわけじゃありません。むしろかなり褒めてます。

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著作者 : 未識 魚
最終更新日 : 2006-09-27 00:11:59

やっかいナリnamazu

このサイトで使用している namazuという全文検索システム は、kakasi という外部プログラムを補助的に使用している。だが、こいつはなかなかの曲者である。そもそもの kakasi の目的と、namazu での使われ方がちょっと違うかららしい。

全文検索システムというものは、漫然と全てのテキストを頭から順番に眺めていくのではない。ものすごく大雑把に言えば、どこにどういう言葉があるかを記した“地図”のようなものを眺めて、ユーザの入力と一致する言葉を探し出すという作業をこなしている。で、このシステムの一番の問題は、“地図”に載せる言葉をどうやって選ぶかという点にある。全文検索システムは、延々と続く文章を適当にぶった切って、地図に載せる言葉を決めなければならない。単語と単語が空白で切れている英語だと、このぶった切るという作業は考えるまでもないくらい簡単なのだが、そういうルールが無い日本語では、単純に切れ目を入れるだけでもかなり厄介だ。namazu の補助をしている kakasi は、この「どこで切ったらよいのか分からない日本語に切れ目を入れて、“地図”に載せるべき言葉を切り出す」、分かち書きと呼ばれる作業を担っているのだが、さっきも言ったように、それは kakasi の本業ではないようだ。kakasi はもともと、漢字とかなの混じった文章を、ひらがなやローマ字に変換するためのプログラムなのだ。

namazu + kakasi の有名なトラブルに、「お知らせ問題」というのがある。例えば、「学校からのお知らせ」を kakasi にかけると、「学校」「からのお」「知らせ」と分割してしまうので、namazu から「お知らせ」を検索してもヒットしないという事態が起きてしまう。なぜそんな奇怪な分割をするかというと、辞書に載ってない連続するひらがなを認識出来ないからである。では、「お知らせ」を 1 単語として辞書登録してしまえばいいじゃないかと誰でも考えるわけだが、なんと kakasi には、ひらがなから始まる単語や英数字を含む語は登録出来ないという、身の毛もよだつ恐ろしい仕様があるのである。ユーザに「『知らせ』で検索しろ」というのはかなりムリがある。つまり、この問題は、製作者自身も早い内から気付いていたにも関わらず、未だ根本的に解決不能なのだ。同様の原因による「『プロ野球チームをつくろう』問題」というのもあった。「をつくろう」が 1 単語と扱われるわけだ。

ただ、kakasi は補助的な外部プログラムだから、他にも選択肢はある。それが chasen というプログラムである。高度な日本語処理なら chasen だなどという煽りをどこかで読んだ記憶があったので、一応試してみることにした。で、いじってみたわけなのだが、しかし、こいつはこいつで kakasi よりもっと癖があった。というか辛い。「お知らせ問題」だけは解決してるけど。

例えば「もじうめ」という固有名詞は、「もじ」と「うめ」に分割できてしまうので、「もじうめ」は複合語扱いになり、そのまま検索してもヒットしない。「もじうめ」のページをヒットさせるには、「もじ うめ」とスペースを挟んだり、「"もじ うめ"」と囲ったり、「*うめ」などで検索することになる。アヒャヒャ。固有名詞の検索のために、AND 検索ならまだしもフレーズ検索や前方・後方一致などを使いこなしてもらうなんてミジンコも考えられない。そんなもん、普通の人は「何それ?」状態だし、ワイルドカードもクオテーションも縁遠い人たちは、教えても恐らく一瞬で使い方を忘れる。それに、デフォルトだと口語を扱うのはほとんどムリなようだ。試しているうちに、どうやら、辞書に載ってるメジャーな単語で切る他は、かなや記号と漢字との切れ目で判断するらしい kakasi の単純なアプローチの方が、意外に汎用性がありそうだ、と思い至った。

kakasi で分かち書きをする場合には、上記のようにひらがなで始まる単語の認識に失敗しまくるという難点はあるが、それは文章の中でいきなり使用した場合のことで、どうしても認識させたいひらがなで始まる単語は、前後を句読点で切ったりカッコでくくるなどして明確に切れ目を与えておけば、kakasi は辞書に載って無くてもそこで分割し、インデックスできるのだ。例えば、「分かりやすいもじうめの使い方」と書いてしまうと、「りやすいもじうめの」が1単語扱いになるが、「分かりやすい『もじうめ』の使い方」と書けば、「もじうめ」を固有名詞とは判断できなくとも1単語として扱われるため、検索ができる。しかし、chasen は日本語の形態素解析がその目的なので、カギカッコの中の平仮名でも、さらに頑張って細かく切ってしまう。つまり、「もじうめ」のような未登録のひらがな固有名詞(特に人名)は全滅する可能性が高い。

すなわち、namazu を使うのなら「お知らせ問題」の解決は諦めて kakasi で行くか、辞書をチューンしまくって chasen で行くか、の二択である。正直、chasen 辛すぎ。禿しくムリ。デフォルトだとひらがな固有名詞や複合語が本当に見事なくらい全滅する以上、使う前には考えられる限りのキーワードを叩き込んでおかなきゃならない。ムリ。もしかしたら解決法があるのかもしれないけど、ぐぐってる限りではなさげ。なんでみんなが kakasi ばかり使って chasen はあまり使われないのかという理由の 1 つが見えた気がする。

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著作者 : 未識 魚
最終更新日 : 2006-09-27 00:18:42

aquaジャケット

aquaジャケット
初出コミックマーケット62。水着モノ。イベント時より微妙にエロくなりました。

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著作者 : 未識 魚
最終更新日 : 2010-05-22 03:09:25


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