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熱意の功罪

「法で禁じられてないから何をしてもいいってワケじゃないし……」という常識論を、「ハァ? 法で禁じられてないことは何してもいいに決まってんじゃん」と猿にでもわかりやすい言葉でステキに一刀両断しやがったのは、我らが切込隊長だったと思います。より遠まわしな表現でなら教養の法学なんかでも教えられますが。

ナイーブ(これは「バカ」の婉曲表現であり、褒め言葉ではありません)な人は、「法律的には問題ないけど、常識で考えたらあんなことは許されないんだから、そのことを禁じる法律があってもいいよね」などと平気で考えます。もちろんこういう直感的な解釈が社会的に適当なことがあるのも事実ですが、国民の権利や義務に関わる場合、こういうナイーブ(=バカでDQN)な癖に声のでかい人間が多いとロクなことにならんケースも多々あるのです。せっかく手にした表現の自由などの権利を、気前好く放り投げてしまい兼ねません。

例えば、「他人の作品パクるのはよくないよね」、というナイーブ(=バカでアホでDQNでクズ)かつ直感的理解だけに留まっていると、気が付いたら作者が死んでも延々著作権が残り続け、ミッキーマウスが嬉しいだけで他の創作者の身動きが大変取りにくい状態になっていたりします。また、「子どものはだかで欲情するヤツってキモいね」とかいうナイーブ(=バカでアホでマヌケで無知でDQNでクズ)な解釈だけをしてると、マンガ業界が自主規制の嵐になって出版不況に拍車がかかったり、別件逮捕の口実を存分にばらまいたりするような事態を引き起こし兼ねないのです。「他人を悪く言うのはよくないでしょ」などというお上品な人もおります。確かにあまり褒められることでもないのですが、まっとうな批判や批評であっても、文章如何では限りなく悪口に近似することがあります。恐ろしいことに、「他人の悪口をネットで言えないようにしたい」などと考えている、とめどもなく頭の悪い人たちは存在します。こういう人たちは、「あのメーカーの製品は質が悪くて……」とウェブ日記で愚痴っただけで刑事責任を追及された上にメーカーから損害賠償を請求されたりするような事態(悪徳企業批判が出来なくなるわけだが)などは一切想像できず、単に「過激な表現から我が子を遠ざけたい」といった歪んだ正義感に燃えているだけだったりするので、大変にタチが悪い。

繰り返しますが、ナイーブ(=バカでアホでマヌケで単純で無知蒙昧全開でDQNでクズ)な直感的理解は、その社会において比較的普遍的でかつ適当な解釈ではあるのです。パクるのもよくないし、ハァハァしてるのを気持ち悪がるのも妥当でしょう。ただ、それを拡大解釈可能な権威あるルールとして明文化してしまった時に何が起こるのかを想像できないナイーブさというのは、大変よろしくない。そしてもっとも罪深いのは、こういったことは全て他人事だと考えているナイーブ(=バカでアホで以下略)さでしょう。無知は罪なり。

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著作者 : 未識 魚
最終更新日 : 2006-09-27 00:29:38


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