情報処理界の非常に根深い問題として、エンドユーザの技術レベルや情報リテラシが向上するというドリームの実現については全く期待ができない、という点がある。というか 1mm たりとも期待してはいけない。アラン・ケイやテッド・ネルソンは夢を見られたかもしれないが、まだ夢みてる人は正直あんまいないと思う。だから、最もバカで DQN で救い難いほど愚かなエンドユーザに合わせて、システム全体をきつめに制限する仕組みを、技術的な部分のみならず社会的にも作ろうとすることになる。例えば、法とか倫理とかライセンスだね。
でも、技術に明るい小利口な人間は、こっそりそのシステムの制限をすり抜ける技術をみつけたり作ったりして、こっそり利用する。クラッキングってのはね、クラックしてることがバレたら、誰がクラックしてるのかはバレなくても、もう終わりなんだよ。誰にも気付かれずにリソースを使い続けるってのがクラッカーの究極の目的だからだ。で、小利口な人間はこっそり利用しながらこっそり技術を磨き、こっそり情報を蓄積し続ける。インフォリッチとインフォプアの差は一層拡がっていくわけだ。そうすると、ますますシステム全体をきつく縛る技術的・社会的枠組みが作られる。しかし、小利口な人間はその枠組みを迂回するズル賢い方法を必ず見つけ出す。だって小利口なんだもん。
そうして、ネットワークは徐々にバカ向けと小利口向けに二分化していく。インターネットって、そういう弱肉強食な世界を目指していたんだっけ?
村井先生、俺は、既存の IPv4 と互換性のない IPv6 の導入が、そういうニ分化に一役買いそうな悪寒がするんですけど。そこら辺も、是非上手く政治的にグルグル手を回してください。おながいします。
どうでもいいけど Cliff Martinez 萌えー。って彼の作品に萌えられるのは、相当なミニマリストかアンビエントテクノ愛好家のみですのでご注意を。
著作者 : 未識 魚
最終更新日 : 2006-09-26 17:58:53