(インターネット上の不正コピーが横行している現状では)「音楽で生計を立てられる見通しが立たなくなる。そうしたら誰も音楽を作らなくなる」。RIAA(全米レコード協会)のお偉方が以前 NHK スペシャルの番組で語っていたことだ。俺はヤツに言ってやりたい。「日本のヲタクどもを見やがれ。絵で生計を立てられる見通しなんか立たなくたって、誰もが絵を描き続けているぞ」。
著作者を法律で保護すれば、著作者のやる気が出て表現活動を活発に行うようになり、ひいては文化が発展するというインセンティブ論は、一面の真実であるとは思うが、作り手はそれだけで動いているわけではない。金がなくても時間がなくても、命を削って描く人は描くし、作る人は作るんだ。作り手のモチベーションの少なからぬ部分は、インセンティブ論者や自然権論者が考えてないところから沸いている。そりゃ目の前に山があれば登りたくなるし、タブレットがあればなんか描いてみたくなるし、ピアノがあったら弾いてみたくなるんだ。
この情報時代、著作権法がどんどん改悪されてるのになぜ著作者はなぜ声を上げないのかっていう疑問が法律周りの人なんかから時々出てくるんだけど、この単純な創作欲みたいな感覚の分からない人なんて、作り手からみたら完全な異人種で、おそらくそいつは俺たちとは共通の言語も感覚も持ってない。はっきり言って、そいつらは金のことばかり考えてるように見える流通のやつらより、作り手からは遠いところにいる。レッシグを知ってる人が同人界にどれだけいる? そんな言葉の通じない人間を口説いてるヒマなんかあるかバカバカしい。それより次の描きたいもののことで頭がいっぱいなんで早く帰っていいですか? 作り手の発想とはそういうものだ。だから、社会システムを作ろうとする人たちは、そういう無茶苦茶ワガママで社会性がなかったり、社会のことに致命的に無知な人たちを守ろうとしてるんだという自覚を持たなければならない。全員に社会性を持たせようなんていう発想は上手くいきっこない。その手の試みは共産主義でコケた。
著作者 : 未識 魚
最終更新日 : 2006-09-26 17:58:26