社会や世相をばっさり斬った意見は、キモチイイ。「ヒキコモリが愛国者やっても、あなたたち国から嫌われてますから! 残念っ!」とか。「税金払ってないやつが国家とか言ってるぞ、気をつけろ!」なんてーの。こういう、ちょっとひねった視点に似せた悪口や揶揄を子気味よく感じてしまうのは、なかなか悪趣味だと思う。悪趣味自体は別に悪いことだとは思わんけど。でもこういう文脈の消費が好きな人は、どこかに頼りない優越感を持っていて、それをせっせと補強して欲しがっているとは思う。
まともな人によるまともな社会学は、別に優越感を煽るためのツールではなく、これといって面白くもないことをコツコツ調べることが大半で、現在がどんなにポストモダンの世界だなんだといっても、やっぱりその学問の究極的な目的は、快楽原則ではないとてもモダーンなところにある。つまり、「社会全体の幸せ」というような辺り。「より良くしていこう」っていう意識を常に持っているまともな人たちが読者の危機感や優越感を煽ったりするのは、あくまで、これといって面白くもない自分の調査や目的を、資本主義社会での「商品」として売るための手段だ。別に優越感のためにやってるわけではない。だから、普通の人に名が知られてて評価もそれなりの社会学者は、大体そういう売り方が上手くて、なおかつ背景の調査に手を抜かなかった人。普通の人に名が知られてて評価が DQN なのは、煽るだけの人ということになるね。
何らかの問題に対して「より良くしていこう」といったモダンな背景を抜きにした単なる毒舌は、ニヒリズムや優越感の補強をしてくれるだけの、悪趣味で品のない消費物だと思う。切腹!!
著作者 : 未識 魚
最終更新日 : 2006-09-27 19:45:51