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今年は士気が上がるといいね

遅ればせながら新年あけましておめでとうございます。

今現在、フリーターという存在は貶されがちだけど、1980年代に、株式会社リクルートが「フリーター」という言葉を作り出した時のことを考えてみよう。“free”という言葉のもつイメージがプラスなのかマイナスなのかを考えれば、これが当時プラスの概念だったことが容易に想像される。フルタイムの雇用者より多くの自由時間が得られる。「夢に向かってガンバレ」。そういう新しくてカッコイイ存在として、フリーターという言葉と概念が、株式会社リクルートという一企業によって作られ、ポジティブなイメージを与えられた。何しろやつら、『フリーター』という映画まで作ったしな。何のために? そりゃあ雇用情報の仲介をするリクルート社が、アルバイト市場を広げるためにですよ。リクルート社は、言葉を作り市場を作り、社会構造まで変えてしまったのだ。うーんさすがだね。企業戦略ってのはこういう規模でやるもんだね。(参考:http://www.works-i.com/article/db/aid279.html

さて、フリーター批判の大半は、「社会に参加していないから」というところへ尽きるだろう。税金や年金を払わない。隣近所の共同体に参加しない。家族を作ろうとしない。で、なんでそれが社会的な批判の対象になるかといえば、我々がそういう生き方を是としない社会の一員だからだろう。でも。「社会のためでだけはなく、自分のために自分らしく生きてもいいじゃないか。いやむしろそうするべきだ」っていう類のメッセージを、20年以上もの間ありとあらゆるメディアでフィクション・ノンフィクション問わず散々流しておいて、いまさら「そんな生き方はダメです」って否定しても、まあ手遅れだわな。

お金を稼ぐことは何のためですか。社会貢献のためではないよね。社会貢献のために日々仕事をしている人、今の日本にどれだけいますか。如何に楽に金を稼いで如何に楽な人生を過ごすか。メディアでそんなことしか流れないのだし、みんな大同小異そういう行動形態を取る。その行動取る人たちにフリーターとか風俗で働く人とか援助交際とか、そういう人たちを批判すべき倫理的な論拠なんて、どこにもないじゃない。

でも貨幣ってのはすげぇ公平なシステムだよな。他にこれほど一元的な価値を提供できるシステムがあるだろうか。貨幣経済を否定するなら、これ以外に皆が納得できる一元的な価値システムを作らねばなるまい。そいつは無理だ。そして皆そこで思考を止める。だから、フリーターが何故ダメなのかをちゃんと説明できる人はほとんどいない。「アンタが不利な立場になるよ」という個人的な損得に基づいた説得か、常識か特定の理念に基づいた非論理的な説教からか、経済学の穴だらけのモデルからの推論くらいでしか述べられない。結局、背後の説得力ある理由は金か。なら開き直って金が一番すばらしいんだ、金が全てだってプロパガンダ流せばいいのに、そんなことはできもしない日本のマスメディアの中途半端さよ。

結局もう経済システムに組み込まれてしまってたフリーターは減りようもない。今現在できるのは、フリーターのマイナスイメージを積極的に売り込むことであって、そしてそれは一応成功している。かのリクルート社も、今となってはフリーターに肯定的ではない。

でもマイナスイメージだけでは、貨幣経済にすっかり組み込まれてしまったフリーターという雇用形態の合理性に勝てないんじゃないか。5人に1人がフリーターの時代、マイナスイメージだけで推し進めたら、社会の士気が下がるじゃない。オルタナティブもないわけだし、少なくとも1/5の人間の士気は下がるわけよ。だからさ、なんかもうちょっと考えた方がええんでねーの。フリーターを非難するより、フリーターでも明るく生きられるための何かを考えたらいいんでねーの。非フリーターの士気を上げるためにフリーターを貶める社会なんて、まともじゃない。と俺は思うんだけどね。

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著作者 : 未識 魚
最終更新日 : 2006-09-26 17:58:10


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