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0. はじめに

人物イラストの背景に素材集の写真を利用するのは手抜きイラストの常套手段なわけですが、写真をそのまま貼り付けるのは、違和感が強いので避けるべきです。また、安価な著作権フリーの素材集は、写真の質が悪く利用が困難なこともあります。ここでは、あまり画質のよくない雲の写真でも、上手く加工して利用する方法の 1つ を紹介します。

1. 写真画像を開く

著作権フリーの素材集から、適当な写真を選びます。仕上がりのサイズを気にしてあまり高解像度の画像にする必要はありません。加工しますので、2倍くらいのピクセル長になら充分引き伸ばせます。

2. 写真画像の分析

よく写真を見てみると、実際の雲の色は周りの空の色に引きづられ、青と水色がほとんどを占めています。青や水色(シアン)が中心ということは、RGB の 3 チャンネルうち、G や B の成分が多く、R が少ないことになります。チャンネルパレットで RGB の各チャンネルを見ると、赤チャンネルの色がもっとも暗いということからも分かります。

3. 特定チャンネルから選択範囲を作成

今回は R チャンネルを利用して選択範囲を作ることにします。Ctrl-1 とキーを押すと、RGB の R チャンネルを利用して選択範囲が作られます。

4. 選択範囲をクイックマスクに

選択範囲が作成されている状態で q を押すと、クイックマスクの編集モードに入ります。

5. クイックマスクのレベル補正

Ctrl-l と入力してレベル補正ダイアログを出し、自動補正します。さらに、ちょっと暗めになるよう手動で補正しています。これは、雲の白い成分をくっきり出すためです。

6. 新規レイヤーの塗りつぶし

再び q を押すとクイックマスクモードを抜けますので、新規レイヤーを作成し、d キーを押して、描画色を黒と白のデフォルトの配色に戻し、Ctrl-Delete で選択範囲を白で塗りつぶしします。

7. 下地の作成

グラデーションで、空の青い部分を下地として作成します。元画像に比べ、ずっとクリアな雲になりました。

8. ぼかしなどの利用

もう少し絵っぽい雲にしてみましょう。Ctrl キーを押しながら先ほど白で塗りつぶしたレイヤーをクリックすると、レイヤーから選択範囲が作られます。選択範囲(S) → 選択範囲の変更(M) → 拡張(E) で このサイズなら3ピクセルほど選択範囲を拡張し、選択範囲(S) → 境界をぼかす(F) で2ピクセルほどぼかしたら、また現在の選択範囲を白で塗りつぶしします。先ほどのものよりやや「手で描いたっぽい」雲になります。

9. 色を変更してみる

雲の部分と空の部分がそれぞれ独立したレイヤーになってますから、共に自在に色を変更出来ます。下を明るく、上を暗くし、雲もそれに合わせた色にすると、簡単に夕方の空になります。元の写真からここまで加工するのに、10分とかかりません。こういった作業は、PhotoShop の最も得意とするところです。


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